前回の記事では、サッカークラブと一般企業(会社)の違いについてまとめました。
今回の記事では、サッカークラブの経営者に求められる適性について考えます。
今回の記事の内容は、
動機その一
動機その二
動機その三
サッカークラブ経営者の資質とは?
サッカークラブへの理解
数十人規模の集団の指揮
感情に流されない
経営者の育て方?
サッカークラブの魅力
となっています。
残念ながら、まとまりがなく、当たり前の事しか書けていません。
以下、前回の記事で見せた、サッカークラブと一般企業(会社)の違いをまとめた表です。
動機その一
今シーズン(2016年)の名古屋グランパスの絶不調については、経営陣と監督によっては「ここまで悪くなるのか」と痛烈に実感させられました。
今まで、ガンバ大阪や清水エスパルスの降格騒動の際には、軽く笑っていたのですが(ごめんなさい)、今年は参りました。
サッカーの経営陣とは何なのか、彼らの仕事とは何なのか、疑問に思いました。
動機その二
今回調べる中で勉強になった記事(情報)を紹介しておきます。
サッカークラブ経営という無理ゲー (サガン鳥栖試合リポートブログ)
横浜Fマリノス嘉悦朗社長退任 (サガン鳥栖試合リポートブログ)
代表取締役社長 嘉悦朗より退任のご挨拶 (横浜F・マリノス公式ホームページ)
横浜F・マリノスが嘉悦朗社長の退任を発表 後任に日産自動車の長谷川亨氏 (ドメサカブログ)
この嘉悦社長の退任コメント読んでいると、(大)企業由来のクラブでは、2種類の経営者が必要になっているように思います。
一つは、クラブに残っている企業体質を変化させ、プロのサッカークラブそのものにする役割。
もう一つは、本来の意味でプロのサッカークラブを経営する役割です。
もちろん、個別の経営者がそれぞれの役割しか果たさないという事ではなく、経営者の想いによって比重は異なります。
大企業に由来しないクラブでは、本来のプロサッカークラブの苦闘そのものでしょう。
動機その三
スポーツ界最大の課題、プロ経営者を育てよう (日本経済新聞)
2015年より、Jリーグは立命館大学と共同で、スポーツクラブの経営人材を育成するために社会人向け講座を開催しています。
十分な職務経験のある人間を対象に、カリキュラムが組まれているようです。
始まったばかりですし、カリキュラムの内容が適切で完璧なはずもありません。
今後の講座の方向性、カリキュラムの内容の変化に注目したいです。
最悪なのは、今後10年間、カリキュラムの内容が変わらない事でしょう。
サッカークラブ経営者の資質とは?
サンフレッチェを再建した元社長“こやのん”こと小谷野薫の経営 前中後編 (サッカーキング)
モンテディオ山形サポーターの怒りとサッカークラブの社長 (オレのサッカー情報まとめ)
上記の記事の他にも、紙媒体の本がありますし、ネット上では様々な情報・知見が得られます。
これらの情報を読んで思ったのは、現在のJリーグでは、
しばしば経営陣(主に社長)の当たりハズレが非常に激しい、という事です。
今シーズンのグランパスを含め、しばしば、企業からの天下り役員(社長)によるシーズン前の行動がチームを混乱に落としています。
海外の極端な例では、リーガ・エスパニョーラ(スペイン)のマラガが、オイルマネーの買収にあい、紆余曲折を経て給料未払い、移籍金未払いにまで行き着きました。
結果、マラガは1シーズンのヨーロッパリーグ(EL)の参加禁止になりました。
(日本語版wikipediaの
マラガのページによると、4シーズンの欧州カップ戦参加禁止でしたが、英語版wikipediaの
マラガのページによると、最終的に1シーズンのEL参加禁止となったようです。)
この例は極端ですが、世界各国でも経営陣による失敗はよくある話なのかもしれません。
こういう観点からも、Jリーグによる経営者育成講座は意味があると思うのですが、いかんせん、大企業から出向してくる社長、役員らに強制的に受講させる訳にもいきません。
従って、
Jリーグを牽引するべきJ1クラブの経営者の質は一定ではない、と言えるでしょう。
J2、J3でも色々ありましたけど。
では、どういう人がサッカークラブの経営者になるべきか、考えてみました。
大雑把には以下の3つの条件です。
- プロのサッカークラブをよく理解している。
- 数十人(あるいはそれ以下)規模の集団の指揮に有能。
- 感情に流されず、ビジネスに徹する事ができる。
以下、条件を1つずつ見ていきます。
サッカークラブへの理解
ようは、前回の記事で紹介した一般企業とサッカークラブの違いを理解しているかどうかです。
(知識としての)理解は、経験とは別物です。
しかし、理解していないよりは理解している方が、物事をうまく進められます。
時間は止まってくれません。
サッカークラブについて学習しながら経営に参加していては、重要なポジションの仕事はより難しくなります。
例えば、「コストカットのために選手達の年俸を下げようと画策していたら、引き止めに失敗して、チーム編成に失敗した」などという事態は、避けなければなりません。
サポーターの熱気、スタジアムの熱気も、一般企業では(直接は)経験できないものです。
数十人規模の集団の指揮
これはそのまま、社長が集団を上手く指揮できるかどうかです。
集団には規模の大小があります。
その大小により、組織の力の質と量は異なります。
大企業の役員であれば、その経歴は多様で、様々な経験をしているでしょう。
しかし、人にはどうしても得手不得手が存在します。
そして、大企業の中の数十人規模の部署と、それだけで閉じている数十人規模の集団では、内包する機能が異なります。
大企業の役員が「数十人規模の部署なんて誰でも経験してるだろ」と思っても、最高責任者として複数機能を持つ数十人規模の集団をうまく機能させられるかは不明です。
たいていは、上手く機能するはずなんですが。
感情に流されない
例えば、20年間ゴール裏で叫んでいる熱心なサポーターが中小企業の優秀な社長さんだとして(ちょっと無理な設定)、その人が愛するクラブの社長として冷静な判断をできるかは、ちょっと難しいでしょう。
カテゴリーの異なる別の地方のクラブなら、問題なく冷静になれるでしょう。
しかし、昔から見守ってきた生え抜きの選手達に、好き嫌いも含めて私情を挟まずに対応を判断できるかは、難しいでしょう。
クラブ愛のあまり、視野狭窄になってはいけません。
また、サポーター達の熱意にとらわれない事も必要です。
経営者にとって、サポーター達は長期の優良顧客です。
彼らに喜んでもらう事、熱狂してもらう事は、経営の重大事です。
彼らを不快にしている原因を取り除く、その状態を変化させる事は大事な仕事ですが、彼らの不満を一身に受け止める事は、また別の話です。
長期の連敗が続いた際にはサポーター達と話し合う事もあるでしょうが、サポーターのブーイングを毎日思い出す必要はありません。
それよりも、クラブ経営のために仕事をするべきです。
とはいえ、数十人、数百人に怒気と罵声を浴びせられるのは、本当にきついと思います。
サッカークラブの社長は、精神的に強い事も必要です。(エネルギーをすごく消費しそうです。)
経営者の育て方?
先に述べたように、Jリーグではサッカークラブ経営者を育てるための講座を開いています。
おおざっぱに参加者の立場から見ると、お金を払って、プロスポーツクラブ経営の簡単な講習を受けて、公的なコネクションを作って、クラブ経営に参加する、という事のようです。
Jリーグ側では実務経験豊富な人達の参加を想定しているようで、「簡単な講習+Jリーグの事情紹介」となっています。
Jリーグ側から見れば、この中から「当たり」が出てくれば嬉しい訳です。
この講座の内容については、参加者がクラブ経営に参加した際に「トラブルにならないための注意点」を教えているのかが気になりました。
経営者育成講座の細かい内容は、PDFで閲覧できます。(
講座概要、Jリーグ・立命館 [JHC教育・研修コース(基礎) 2016-2017])
岡田さんや川淵さんの成功話苦労話は、もちろん参加者のモチベーションを高めるでしょうが、極論してしまうと、参加者たちが岡田さんたちと同じ状況で、同じ方法で成功する事はまずありません。
それよりも、匿名で良いのでサッカークラブでの失敗談苦労話を多く集めて分析し、頻繁に起きる問題、それらに対して経営者がよくおかしてしまう軽度の対応ミス、そしていくつかの致命的な対応ミスを紹介した方が、参加者達がクラブ経営で生き残るためには効果的に思います。
経営に参加する人間を育成するのですから、経営での失敗(特にサッカークラブの事情に起因した)がないにこした事はありません。
また、J1、J2、J3では、経営規模や観客の規模が異なる訳ですが、その違いもまた、問題の起きる種になるはずです。
この辺は、Jリーグが分析、マニュアル化してもいいんじゃないですかね?
サッカークラブ経営の魅力
「サッカークラブを理解する」に関連して、サッカークラブの経営の魅力(経営者のやりがい)について言及しておきます。
サッカークラブ経営の魅力とは、クラブの資産を増やす(クラブの経営規模を大きくする)、あるいはクラブ経営者としてプロサッカーに参加する事です。
自身の資産の増大に強い関心がある人は、自身で一般企業・ヴェンチャー企業を経営・保有し、投資運用を行うべきでしょう。
(経営規模が大きくなっていく際に得られる「旨味」は考えていません)
理由の一つは、一般企業とサッカークラブでの商品の質と利益の獲得方法の違いです。
サッカークラブでは、一般企業ほど、安定して大きな黒字を出す可能性はありません。
自身の資産を速く大きく増やしたい人は、サッカークラブ経営を選択肢から除外すべきです。
もう一つの理由は、サッカークラブの注目度の高さと質です。
サッカークラブは、企業規模の割には、地域的、全国的な知名度が相対的に高い組織です。
チームに加えて、チームを編成するフロントにも、その注目はそそがれます。
一般企業では、ほぼ全ての消費者の興味は商品にあります。
特定の個人、技術開発部の○○さんや、役員の△△さんは、消費者の興味の対象ではありません。
(同業他社の人々なら、興味をもつでしょうけど。)
しかしサッカークラブでは、チームそのものである監督、選手達、コーチ陣に加え、チームを編成するフロントも興味の対象です。
といっても、チームが好調の時には目立たず、チームの不調の際には目立ってしまうのが、経営者の悲しいところだと思います。
同じくらいの経営規模の一般企業なら新聞に載らないようなネタでも、プロのサッカークラブとなれば載る事があるかもしれません。
これは、小さな地方クラブから、世界規模のファンを持つビッグクラブまで、サッカークラブの変わらない性質です。
目立ちたがりの人には、好ましいポジションでしょう。
まとまりませんが、このへんで終わります。
今回、サッカークラブの経営者について考えてみましたが、深い所は理解できませんでした。(経験者じゃないので当然ですが)
サッカークラブに経営者は必須ですので、また今後、機会があれば調べてみたいと思います。
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