2016年7月6日水曜日

【小ネタ】 J1クラブのコストパフォーマンス、鹿島、柏、横浜FM、G大阪

この記事では、人件費が15億円から20億円規模のクラブ、鹿島、柏、横浜FM、G大阪について、相対的なコストパフォーマンスの年変化を見ます。

勝点と人件費の比(単位はポイント/1億円)が単なるコストパフォーマンスなら、勝点と人件費の比を、年平均値で割った値(<勝>)が、他のクラブに対する相対的なコストパフォーマンスになります。

各クラブの投入する人件費は毎年変動し、全クラブの人件費の総額も変動するため、この相対的なコストパフォーマンスを比較する方が公正です。

前回の記事(【小ネタ】 J1クラブのコストパフォーマンス、資金豊富な名古屋と浦和)で見せたように、浦和と名古屋は、優勝した年でさえ、相対的なコストパフォーマンスが1程度でした。

鹿島、柏、横浜FM、G大阪は、浦和と名古屋に次ぐ資金規模のグループです。

2006年から2014年までの9年間で、優勝回数は4クラブ合わせて5回です。(残りは、名古屋1回、浦和1回、広島2回です)




鹿島アントラーズ

鹿島アントラーズの年度別成績一覧

人件費の単位は100万円です。
2007年からJ1を3連覇しており、2010年から12年までの3年間も、ヤマザキナビスコカップと天皇杯のタイトルのいずれかを獲得しています。

2011年と2012年は低迷していました。この2年間の<勝>は0.65と0.67、低い数値です。

2012年は11位となり、この9年間で最低の成績でした。

しかし、2012年を除けば、常に6位以上であり、<勝>も1程度、1以上です。

2007年の優勝時には<勝>が1.32という高い値でした。2008年、2009年の優勝時も1.1以上の値でした。



下の<人>と<勝>のグラフですが、人件費を多くすると、コストパフォーマンスが悪くなる(<勝>が低くなる)ように見えます。

【小ネタ】 名古屋と2014年のJ1クラブのコストパフォーマンス」や、「【小ネタ】 J1クラブのコストパフォーマンス、2006年から2014年まで」で紹介したように、各年のプロットを見ると、人件費の少ないチームが、人件費の高いチームよりも高いコストパフォーマンスを見せる傾向がありました。

同じクラブ内でさえ、この傾向が見られるのでしょうか?


ガンバ大阪

ガンバ大阪の年度別成績一覧

人件費の単位は100万円です。`#N/A’は、J2カテゴリーのためにデータが無い事を意味します。
順位を見れば分かりますが、ここ9年間で3位以上が6回あります。

2005年にJ1初優勝を果たし、以降、強豪チームであり続けました。(なお2012年

2014年には国内3冠を達成しています。

2008年はJ1で8位と、調子が悪かったように見えますが、ACLと天皇杯で優勝しています。



2012年の<勝>がもっとも低い点を除けば、やはり<人>が高いと<勝>が低い傾向があります。


柏レイソル


人件費の単位は100万円です。`#N/A’は、J2カテゴリーのためにデータが無い事を意味します。
2006年から2009年までと、2011年から2014年までで、人件費の規模が異なります。

2009年まではせいぜい17億円でしたが、2011年以降は名古屋と浦和に匹敵する20億円前後になっています。

なおJ1優勝は2011年の1回のみですが、やはり<勝>が1.01と、高い値ではありません。

2011年以降の<勝>の幅は、名古屋浦和と同程度です。



2006年から2009年までと、2011年から2014年までで、<人>のグループがはっきりと分かれています。


横浜F・マリノス

横浜F・マリノスの年度別成績一覧

人件費の単位は100万円です。
2013年にはJ1で2位になり、天皇杯で優勝しています。

しかし、この9年間は中位からちょっと上の順位が多くなっています。

2013年の調子の良いシーズンを除けば、勝点の最小が45、最大が56、他のクラブに比べて狭い範囲に収まっています。

一方、人件費は11億円台から22億円台まで変動しており、勝点が10程度の幅に収まっているのが不思議なくらいです。


<勝>の高い2008年と2009年は、人件費が安かった年です。


横浜のグラフは、ほぼ直線状にプロットされています。

上に書いたように、勝点が狭い範囲に収まっている一方で、人件費が幅広く変動しているためです。


まとめ

最後に、これらのクラブの<人>と<勝>をまとめたグラフです。


<勝>が高いのは鹿島、次いでG大阪です。

横浜のプロットの負の傾きに比べて、鹿島とG大阪のプロットの傾きは同じ程度、あるいは若干きついようにも見えます。

鹿島とG大阪の勝点の変動幅は20程度あるので、勝点の変動幅の狭い横浜より、傾きがきつくてもおかしくありません。

しかし、そうなると、鹿島とG大阪で人件費が高い時にコストパフォーマンスが悪くなる傾向が真実味をおびてきます。

単に、常に補強に失敗しているのでしょうか?

それとも、獲得した選手達がなじむのに多少時間がかかる事を示しているのでしょうか?(人件費の多い年は、他の年よりも多く?選手達を獲得するから、その分コストパフォーマンスが落ちる?)




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