2016年7月25日月曜日

【J1】 名古屋グランパス、小倉監督続投について思う事

(目新しくないけど)どうしても言いたい事


指導経験の無い小倉さんを監督に据えて、

しかしチーム戦術を構築できなかったからこそ監督を交代させるべきなのに、

監督を続投させ、加えて選手達に「言い訳を言うな」などと言い放っては、

選手達の士気は最低になってしまったと思います。

現在のグランパスには確立した攻守の戦術がなく、

選手達の個々の頑張りにしか期待できない状況でしたが、

こうなってしまうと、来週の横浜戦が非常に心配です。

シーズン終盤に差し掛かり、順調なチームが戦術と連携を深めている中、

残り12戦で6勝するという久米社長の言葉は、夢物語にしか聞こえません。




名古屋グランパスは誰のもの?


今更ながら、今回の騒動で確認できた事は、

現在の名古屋グランパスというクラブが、

クラブサポーターおよび愛知県民と名古屋市民のために存在するのではなく、

トヨタをはじめとした株主企業および(株)名古屋グランパスエイトに所属する人達のために存在しているという事です。


トヨタや他企業の方を向いていればお金が貰えるので、それは当然の事なんでしょうが、

それを続けている限り、名古屋グランパスのフロント陣は真面目にサッカーを考える事無く

高額な資金を持って有望な選手を獲得し、その選手達を使って実績を作れないまま放出し、

中位に甘んじ、資金を無駄にし続けるでしょう。


こんな事を言うと、クラブのフロント陣および関係者にも反論があるでしょうが、

どれだけ弁護を重ねても、Jリーグ最高クラスの人件費に対してのタイトル獲得数の少なさ、加えて、鹿島広島と比較した名古屋のコストパフォーマンスの悪さは否定できません。



一般論


以下、つらつらとクラブ経営ってこんなもんだろうな~と、思うところを書きます。

まとまりがないですし、他の誰かも書いているだろう事です。



通常、プロサッカークラブの第一の存在意義は、応援してくれる(コアな)サポーターと(ライトな)観客達のために勝利する事のはずです。

これは、クラブの主な収入源が、サポーターと観客達を対象にしたチケット・グッズの販売収入と、サポーターと観客達への宣伝効果を目的にしたスポンサー企業からの広告料収入によるからです。

しかし、このチケットなどの販売収入が少なく、しかも宣伝効果を軽視して莫大な資金をだしてくれる企業がでてくると、そのプロサッカークラブは、サポーターと観客達のための存在ではなく、その企業のための存在になります。

そして、そうやって企業の影響力が大きくなり、勝利を目的としない経営や人事が多くなり、チームが勝利しなくなると、サポーターと観客達は冷めてしまい、離れて行き、結局さらに企業の資金に依存する事になります。



名古屋グランパスは決算を公開していないので、前年の数字は分かりませんが、

2013年度分についてはjleague.jpで公開されています(2013年度(平成25年度)Jクラブ個別情報開示資料)。

人件費の規模が名古屋と同等の浦和を見ると、

広告料収入が入場料収入と同等で、それぞれ23億円、21億円です。

一方の名古屋は、広告料収入が24億円に対し、入場料収入は7億円です。

この年の名古屋の営業収入の半分以上は広告料収入によって賄われ、

それが人件費と同等になっています。

これらの数字を見る限り、間違いなく、名古屋はスポンサー企業の影響力が大きいクラブです。



このような企業資本に占められたクラブは、地域密着を掲げたJリーグの理念と相反する事は言うまでもありません。



上に書いた企業の影響力が増大する循環には、頼りにならないストッパーが存在します。

それは出資企業(の役員)への様々なレベルでの不評です。

一般庶民が多数を占めるサポーター達からの悪評が耳に入らなくとも(聞こうとしない限りは)、近しい人間、あるいは同じレベルの企業人・財界人達からのチクリとした嫌味は、出資企業(の役員)の耳へと入るでしょう。

ただこれは本当に頼りにならないストッパーであり、大抵は大きなショックが起きるところまで、循環は進行します。



不幸な事に、戦術の発展した現代サッカーにおいて、クラブ経営は、いわゆる生き馬の目を抜くような世界です。

まずフロントが戦術の方向性を決め、その方向に沿った人材(監督、コーチ、選手達)を集め機能するように調整しなければなりません。

しかし、当初の狙い通りに行く事はまずありません。

選手達の負傷や成長、何より相手チームなどの不確定要素が多いからです。

しかも、仕事のタイムスケールは企業と(おそらく)異なり、一年区切りです。

チームが機能しないと、数ヶ月のタイムスケールで多くの波乱が起こります。

クラブ経営への意欲と能力に乏しい人間では、対応できず、精神的につらいでしょう。

私は大企業にもサッカークラブにも所属した事はありませんが、両者の仕事内容がかけ離れたものである事は理解できます。



どのクラブにしろ、長期目標の一つは、国内の最上位カテゴリーでのリーグ戦の優勝です。

これには、最上位カテゴリーにいる事が最低条件になります。

当然の事ながら、最上位カテゴリーは宣伝効果が最も大きいはずです。

従って一般に、カテゴリーが落ちてしまえば、企業は広告料を減らします。

興味を無くしてしまうサポーター・観客もいるでしょう。

従って、「カテゴリーを落とす」という事は、クラブの弱体化を意味し、クラブにとっては最優先で避けるべき事です。

クラブの資金規模がそのカテゴリー基準に比べて少ない場合を除いて、ですが。



今回の名古屋の監督続投は、クラブが大きな岐路に直面しているのに、あまりにも無策です。

クラブ内部の事情はよく分かりませんが、

長年J1で戦ってきたクラブが、

チームを機能させられずに、降格の危機に何の手も打てない(打たない)なら、

それは、彼らがサッカーより大事だと認識しているモノのためにこれまで動いてきた結果です。



これから30年目を目指していくJリーグですが、スポンサーである大企業の資金規模の大きさと、Jリーグクラブの資金規模のミスマッチは、Jリーグの成長熟成を妨げる要素の一つです。

名古屋の他、いくつかのクラブは燻ったままです。




にほんブログ村 サッカーブログ 名古屋グランパスエイトへ
クリックして頂けると励みになりますm(_ _)m



[記事一覧] 2016年名古屋グランパスへの不満について

0 件のコメント:

コメントを投稿

注目の投稿

サッカーにおけるボロノイ図使用の制限、ボロノイ図とは?

本記事の主張は、「 サッカーではボロノイ図を無制限に信頼しないでね 」、です。 特に私が危惧しているのは、盲目的な信頼によって、ボロノイ図が選手批判に使用される事です。 事実として、選手たちが動いてない時(動きが悪い時)ほど、ボロノイ図は各人がカバーできる領域に近くなり...