ギリギリの速攻
日本代表の2点目(前半35分)についての解説です。
一言で言うと、ブルガリアの守備陣が動けなくて当然の攻撃、でした。相手守備陣が体勢を整える前の、鮮やかな速攻(と言ってもギリギリ)による得点でした。
時間経過を調べ、柏木選手のロングパス、長友選手のクロス、香川選手のヘディングシュートについて、ボールの移動速度(スピード)を算出します。
時間経過を調べ、柏木選手のロングパス、長友選手のクロス、香川選手のヘディングシュートについて、ボールの移動速度(スピード)を算出します。
時間経過
センターサークルの柏木選手がボールを蹴りだしてから、ボールがゴールに吸い込まれるまで、手動計測でおよそ7.8秒でした。- 柏木選手が蹴りだして、左サイドの長友選手がトラップするまでに3秒。
- 長友選手がトラップした後に蹴りだすまで、2.5秒。
- 長友選手が蹴ったボールを香川選手がヘディングするまで、1.8秒。
- 最後、香川選手のヘディングが、奥のゴールネットに接触するまでおよそ0.5秒。
長友選手がトラップした時点で、周囲にブルガリアの選手達はいませんでした。ブルガリアの選手達が長友選手に近づいてきて、日本の選手達(香川選手)がブルガリアのゴール近くに来た時点で、長友選手がボールを蹴りだしました。
ブルガリアの守備陣はゴールに向かいながら、いつクロスを上げてくるか分からない長友選手を注視していたはずです。その状態から、長友選手がクロスボールを蹴りました。ブルガリアの守備陣がボールの落下地点を予測できたのは、長友選手が蹴ってからどれほど経過してからでしょうか?
仮に、半分の時間である0.9秒が経過した時点でボールが落ちだし、その時に落下地点を予測できたとしても、残りは1秒に満たない0.9秒です。反応時間の0.3秒を差し引けば、DFが使える時間は0.6秒です。棒立ちの体勢なら、走りだすために腰を落とす動作も必要になります。0.6秒からさらに時間が減ってしまうと、もうほとんど移動はできなくなります。
つまり自陣ゴール前に戻った瞬間に速いクロスを上げられると、DFはその場からほとんど動けません。相手のミスを祈るばかりになります。クロスを上げられた時点で、相手選手を捕まえていればなんらかの動作は可能ですが、そうでなければ何もできなくなります。
ブルガリアの守備陣はゴールに向かいながら、いつクロスを上げてくるか分からない長友選手を注視していたはずです。その状態から、長友選手がクロスボールを蹴りました。ブルガリアの守備陣がボールの落下地点を予測できたのは、長友選手が蹴ってからどれほど経過してからでしょうか?
仮に、半分の時間である0.9秒が経過した時点でボールが落ちだし、その時に落下地点を予測できたとしても、残りは1秒に満たない0.9秒です。反応時間の0.3秒を差し引けば、DFが使える時間は0.6秒です。棒立ちの体勢なら、走りだすために腰を落とす動作も必要になります。0.6秒からさらに時間が減ってしまうと、もうほとんど移動はできなくなります。
つまり自陣ゴール前に戻った瞬間に速いクロスを上げられると、DFはその場からほとんど動けません。相手のミスを祈るばかりになります。クロスを上げられた時点で、相手選手を捕まえていればなんらかの動作は可能ですが、そうでなければ何もできなくなります。
さらに、最後の壁であるGKにとってつらい事に、クロスボールはGKの前を通過し、それを追って首を回した直後に、香川選手のヘディングシュートがさらに逆サイドのゴールネットに突き刺さりました。視野の制限と反応時間による守備の難しさを引き出した攻撃でした。
仮に香川選手が長友選手に近いニアにいて、ブルガリアのGKが香川選手を視界に収めていたら、まだ対応できたかもしれません。
あるいは、柏木選手や長友選手の球出しが数秒程度遅かったら、おそらくブルガリアの守備陣は準備ができていて、小柄な香川選手によるヘディングシュートは、困難になったでしょう。
平均球速
選手達のおおよその位置が分かるので、経過時間から、それぞれのボールの移動速度(スピード)を算出できます。
大雑把にですが、柏木選手はセンターサークル中心、長友選手はペナルティラインの延長線上のサイドライン、香川選手はゴールエリアの角にいると仮定します。
ペナルティエリアなどの長さは規定されており、ピッチの広さも分かっているので(【小ネタ】 LIVEトラッキング(以下略))、選手間の直線距離が計算できます。ただ、柏木選手と長友選手の間、長友選手と香川選手の間は、高い山なりのパスなので、それぞれ距離を1割増しと仮定します。得られた結果は以下の通りです。
- 柏木選手と長友選手の間が、54.5(49.5)m。
- 長友選手と香川選手の間が、48.7(44.3)m。
- 香川選手からゴール右隅までの距離が、15.0m。
カッコ内は補正していない直線距離です。直線距離から1割増やした根拠は、柏木選手からのパスの高さを、画面内のブルガリアの選手の身長と比較して、およそ10mと見積もったからです。10mと、各直線距離の半分の長さ、そして三平方の定理(ピタゴラスの定理)を使うと、10mの高さになるまでどの程度の直線距離を進んだのか、計算できます。
長友選手のクロスもこの程度の高さだろうと仮定しました。これらの距離を時間で割ると、それぞれのパスとシュートの平均球速が出ます。
- 柏木選手のロングパスは、18.2m/s (65.5 km/h)。
- 長友選手のクロスは、27.1m/s (97.6 km/h)。
- 香川選手のヘディングシュートは、30.0m/s (108 km/h)。
トラッキングデータなら正確な数字が分かるはずですが、誤差はあっても大体こんな感じの数字が出てくると思います。
放送を見ると、柏木選手のロングパスに比べて、確かに長友選手のクロスと香川選手のヘディングシュートは一段階速い事が分かります。
日本代表の選手達が見せるこれらの球速と正確性が、Jリーグの選手達の目指すものになります。そして世界には、より上の次元があります。
次は、6月7日のボスニア・ヘルツェゴビナ戦ですね。次はボスニアも最初から警戒してくるでしょうね。
画像のサッカーフィールドは、GATAGで公開されている、focadimaさん作成のものを使わせて頂きました。
放送を見ると、柏木選手のロングパスに比べて、確かに長友選手のクロスと香川選手のヘディングシュートは一段階速い事が分かります。
日本代表の選手達が見せるこれらの球速と正確性が、Jリーグの選手達の目指すものになります。そして世界には、より上の次元があります。
次は、6月7日のボスニア・ヘルツェゴビナ戦ですね。次はボスニアも最初から警戒してくるでしょうね。
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