勝点と人件費の比(単位はポイント/1億円)が単なるコストパフォーマンスなら、勝点と人件費の比を年平均値で割った値(<勝>)が、他のクラブに対する相対的なコストパフォーマンスになります。
各クラブの投入する人件費は毎年変動し、全クラブの人件費の総額も変動するため、この相対的なコストパフォーマンスを比較する方が公正です。
今回のクラブを簡単に紹介すると、緩やかに衰退してしまった清水、ジェットコースターのようなC大阪、健闘していた神戸、長期政権で勝利者になった広島、です。
清水エスパルス
・清水エスパルスの年度別成績一覧 (Wikipedia)人件費の単位は100万円です。 |
2006年、2007年の順位は4位と好位置につけていますが、<人>は0.8程度、それぞれの年の人件費の平均値の0.8倍ほどです。
それでいてこの順位(勝点)のため、相対的なコストパフォーマンス<勝>は、1.5前後と高い値を見せています。
正直言って、この2年間の成績が良すぎました。
この2年間の成績を基準に考えていたら、<勝>が1を超えていても、満足できなくて当然です。
その後、<勝>は減少し、2011年で0.88を記録して底を打った後、2012年、2013年と1以上に回復します。
出だしの紹介で、清水を緩やかな衰退と書きましたが、<勝>が1前後の成績に一定の満足をするべきだったと思います。
そしてその後は2014年に0.83と低い値になりました。
セレッソ大阪
・セレッソ大阪の年度別成績一覧 (Wikipedia)人件費の単位は100万円です。`#N/A’は、J2カテゴリーのためにデータが無い事を意味します。 |
2010年にJ2から上がってきた途端に3位になり、その後2年連続で10位以下、2013年には4位になり、次の年に17位で降格しました。
ただJ1復帰後の4年間、順位が悪いと言っても、2011年の<勝>は0.98で、人件費に見合った結果は出しています。
むしろ、3位と4位になった2010年と2013年が、<勝>が1.35程度と、非常な好成績でした。
しかし残念ながら、2014年は17位で、<勝>が0.57と低い値に終わってしまいました。
色々あった結果ですが、フロントの仕事(チーム設計)が失敗した事は確かです。
2014年の、C大阪を含めた勝点と人件費の比の年平均値は3.2ポイント/1億円でした。
従って、人件費から逆算して、チームが機能していれば(<勝>が1なら)、54ポイントほど(=3.2x16.8)の勝点が欲しかった事になります。
54-31=23なので、2014年のC大阪は、追加で8試合分の勝利が欲しかった事になります。
<勝>が0.5近くの低い値は、2006年と2014年の降格した時の成績です。
ヴィッセル神戸
・ヴィッセル神戸の年度別成績一覧 (Wikipedia)人件費の単位は100万円です。`#N/A’は、J2カテゴリーのためにデータが無い事を意味します。 |
しかし、<勝>の値はそこまで低いものではなく、1前後、最も低い値は2009年の0.81です。
J1で健闘していたチームと言えます。
2012年にJ2に降格しましたが、<勝>の値は0.93であり、本当に若干だけチームを機能させられなかった事が降格の原因でした。
神戸も、なんだか、<人>が高い時に<勝>が低い分布に見えます。
2009年に<勝>が0.81と低い値でしたが、この年の人件費は15億円以上で、この期間の神戸で最も高い人件費でした。
サンフレッチェ広島
・サンフレッチェ広島の年度別成績一覧 (Wikipedia)人件費の単位は100万円です。`#N/A’は、J2カテゴリーのためにデータが無い事を意味します。 |
2012年と2013年の優勝の際の人件費は14億円台です。
この上は、2007年優勝の鹿島の17億円台です。
2006年優勝の浦和の人件費は約25億円でした。
2012年と2013年の<勝>は、1.25、1.20で、これは優勝したクラブの中では、2007年の鹿島の1.32に次ぐ高さです。
監督を見ると、2006年途中から2011年までがペトロヴィッチ監督、2011年以降は森保監督です。
広島の情報を詳しく知らないのですが、2007年にJ2に降格した際に、ペトロヴィッチ監督をそのまま続投させた事が、現在の広島の強さにつながっている事は間違いありません。
これはフロントの英断でした。
<勝>の最小値は、降格した2007年の値です。
まとめ
最後に、今回紹介した、清水、C大阪、神戸、広島の<勝>と<人>の値を載せたグラフです。低い<人>の値では、清水とC大阪が、高い<勝>の値を見せていますが、1程度の<人>では、広島が高い<勝>の値を見せています。
この4つのクラブの中では、高い人件費を得た際に、広島が最も上手にチームを機能させる事ができています。
今回紹介した4つのクラブの成績は、互いに全く異なるものでした。
試合では監督(コーチ陣)と選手達に注目が集まりますが、人件費、成績(勝点)、相対的なコストパフォーマンスに着目して、このような年単位の変化を見ると、どうしてもお金の使い手であるフロントの存在・能力を意識しないではいられません。
次回は、少ない資金規模のクラブ、新潟、仙台、甲府の成績について紹介します。
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