2016年7月11日月曜日

【小ネタ】 J1クラブのコストパフォーマンス、清水、C大阪、神戸、広島

この記事では、人件費が10億円から15億円のクラブ、清水エスパルス、セレッソ大阪、ヴィッセル神戸、サンフレッチェ広島について、J1での相対的なコストパフォーマンスの年変化を見ます。

勝点と人件費の比(単位はポイント/1億円)が単なるコストパフォーマンスなら、勝点と人件費の比を年平均値で割った値(<勝>)が、他のクラブに対する相対的なコストパフォーマンスになります。

各クラブの投入する人件費は毎年変動し、全クラブの人件費の総額も変動するため、この相対的なコストパフォーマンスを比較する方が公正です。


今回のクラブを簡単に紹介すると、緩やかに衰退してしまった清水、ジェットコースターのようなC大阪、健闘していた神戸、長期政権で勝利者になった広島、です。



清水エスパルス

清水エスパルスの年度別成績一覧 (Wikipedia)

人件費の単位は100万円です。
2006年から2014年までの清水エスパルスの成績ですが、ほぼ右肩下がりとなっています。

2006年、2007年の順位は4位と好位置につけていますが、<人>は0.8程度、それぞれの年の人件費の平均値の0.8倍ほどです。

それでいてこの順位(勝点)のため、相対的なコストパフォーマンス<勝>は、1.5前後と高い値を見せています。

正直言って、この2年間の成績が良すぎました

この2年間の成績を基準に考えていたら、<勝>が1を超えていても、満足できなくて当然です。

その後、<勝>は減少し、2011年で0.88を記録して底を打った後、2012年、2013年と1以上に回復します。

出だしの紹介で、清水を緩やかな衰退と書きましたが、<勝>が1前後の成績に一定の満足をするべきだったと思います。

そしてその後は2014年に0.83と低い値になりました。






セレッソ大阪

セレッソ大阪の年度別成績一覧 (Wikipedia)

人件費の単位は100万円です。`#N/A’は、J2カテゴリーのためにデータが無い事を意味します。
C大阪は、非常に浮き沈みの激しい順位変動を見せます。

2010年にJ2から上がってきた途端に3位になり、その後2年連続で10位以下、2013年には4位になり、次の年に17位で降格しました。

ただJ1復帰後の4年間、順位が悪いと言っても、2011年の<勝>は0.98で、人件費に見合った結果は出しています。

むしろ、3位と4位になった2010年と2013年が、<勝>が1.35程度と、非常な好成績でした。

しかし残念ながら、2014年は17位で、<勝>が0.57と低い値に終わってしまいました。

色々あった結果ですが、フロントの仕事(チーム設計)が失敗した事は確かです。

2014年の、C大阪を含めた勝点と人件費の比の年平均値は3.2ポイント/1億円でした。

従って、人件費から逆算して、チームが機能していれば(<勝>が1なら)、54ポイントほど(=3.2x16.8)の勝点が欲しかった事になります。

54-31=23なので、2014年のC大阪は、追加で8試合分の勝利が欲しかった事になります。



<勝>が0.5近くの低い値は、2006年と2014年の降格した時の成績です。



ヴィッセル神戸

ヴィッセル神戸の年度別成績一覧 (Wikipedia)

人件費の単位は100万円です。`#N/A’は、J2カテゴリーのためにデータが無い事を意味します。
2007年にJ1に昇格してきた神戸ですが、2014年を含め、最高成績が9位と、低調な成績に見えます。

しかし、<勝>の値はそこまで低いものではなく、1前後、最も低い値は2009年の0.81です。

J1で健闘していたチームと言えます。

2012年にJ2に降格しましたが、<勝>の値は0.93であり、本当に若干だけチームを機能させられなかった事が降格の原因でした。



神戸も、なんだか、<人>が高い時に<勝>が低い分布に見えます。

2009年に<勝>が0.81と低い値でしたが、この年の人件費は15億円以上で、この期間の神戸で最も高い人件費でした。



サンフレッチェ広島

サンフレッチェ広島の年度別成績一覧 (Wikipedia)

人件費の単位は100万円です。`#N/A’は、J2カテゴリーのためにデータが無い事を意味します。
近年、最も低い人件費でJ1の優勝を果たしている広島です。

2012年と2013年の優勝の際の人件費は14億円台です。

この上は、2007年優勝の鹿島の17億円台です。

2006年優勝の浦和の人件費は約25億円でした。

2012年と2013年の<勝>は、1.25、1.20で、これは優勝したクラブの中では、2007年の鹿島の1.32に次ぐ高さです。

監督を見ると、2006年途中から2011年までがペトロヴィッチ監督、2011年以降は森保監督です。

広島の情報を詳しく知らないのですが、2007年にJ2に降格した際に、ペトロヴィッチ監督をそのまま続投させた事が、現在の広島の強さにつながっている事は間違いありません。

これはフロントの英断でした。



<勝>の最小値は、降格した2007年の値です。



まとめ

最後に、今回紹介した、清水、C大阪、神戸、広島の<勝>と<人>の値を載せたグラフです。


低い<人>の値では、清水とC大阪が、高い<勝>の値を見せていますが、1程度の<人>では、広島が高い<勝>の値を見せています。

この4つのクラブの中では、高い人件費を得た際に、広島が最も上手にチームを機能させる事ができています。



今回紹介した4つのクラブの成績は、互いに全く異なるものでした。

試合では監督(コーチ陣)と選手達に注目が集まりますが、人件費、成績(勝点)、相対的なコストパフォーマンスに着目して、このような年単位の変化を見ると、どうしてもお金の使い手であるフロントの存在・能力を意識しないではいられません。

次回は、少ない資金規模のクラブ、新潟、仙台、甲府の成績について紹介します。




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