2016年6月25日土曜日

【小ネタ】 J1クラブのコストパフォーマンス、2006年から2014年まで

導入

以下の記事で、各クラブの人件費を横軸とし、勝点と人件費の比を縦軸とした分布図を作成しました。

【小ネタ】 名古屋と2014年のJ1クラブのコストパフォーマンス

この分布図を見ると、各クラブが、投入した人件費に対して、どの程度の勝点を獲得できたかが理解できます。結果は、資金豊富なクラブは人件費に対して獲得した勝点が少ない、というものでした。

今回の記事では、2006年から2014年までの解析結果をまとめた図をお見せします。

結論を先に言いますと、どの年もほぼ同じような傾向でした。

2014年J1の勝点や人件費のグラフを色々並べた、初期解析の記事がこちらです。

【小ネタ】 勝ったのは誰だ? 2014年 J1

2006年から2013年までの、J1の順位、勝点、人件費などの諸データはFootball GEISTさんのページからコピーさせて頂きました。ここで感謝の意を述べさせて頂きます。


結果

以下、解析した図を紹介します。最初に、具体例として2013年を取り上げます。他の年についても同じような図を作って、最終的に2006年から2014年までの9年間の結果をまとめてプロットしました。

2013年の各値の表です。
2013年の各値。`勝/人’は、勝点と人件費の比です。`<人>’と`<勝>’は、人件費と勝/人を、それぞれの平均値で割った(つまり規格化した)値です。

人件費と勝/人をそれぞれの平均値で割った理由(<人>と<勝>を計算した理由)は、年ごとのJ1に投入される予算の違いを補正するためです。人件費の平均値を比べると、最大で16.6億円(2008年)、最小で13.4億円(2011年)でした。

【小ネタ】 名古屋と2014年のJ1クラブのコストパフォーマンスで、名古屋の勝点と人件費の比の年変化を見ました。ただ、各クラブの人件費も勝点と人件費の比も年変化します。なので、例えば、ある年の勝点と人件費の比3pt/1億円は、次の年の3pt/1億円と同じ結果ではありません。しかし、<勝>を使うと、年をまたいだ比較もできます。

まず、横軸を人件費、縦軸を勝点にした分布図です。


勝点のピークが、人件費が15億円程度のあたりにある事が分かります。人件費で言えば、中堅どころのクラブです。

次に、横軸を順位、縦軸を勝点と人件費の比にした分布図です。


上位のチームは、勝点と人件費の比がおおよそ4pt/1億円の割合になっています。5pt/1億円前後のクラブは、間違いなく健闘したと言えるでしょう。この年は、どちらも健闘したにも関わらず、甲府15位と湘南16位で、明暗が別れてしまいました。

次に、横軸を人件費、縦軸を勝点と人件費の比にした分布図です。


【小ネタ】 名古屋と2014年のJ1クラブのコストパフォーマンスの2014年の分布図と同じように、まるで上限があるかのように、負の傾きを見せます。資金豊富なクラブは人件費に見合った勝点をとれず、資金の少ないクラブがより多くの勝点を獲得しています。

集団から離れている2点は、大分(18位)と磐田(17位)です。同程度の人件費のクラブに比べて、勝点をとれなかった事が分かります。

次に、人件費と、勝点と人件費の比を、それぞれの平均値で割った場合の分布図です。


横軸と縦軸の1が、それぞれの平均値を表しています。

2006年から2014年までのまとめのグラフですが、まずは年ごとの補正をしていない場合、人件費と、勝点と人件費の比を直接プロットします。


やはり上限があるかのように、右上にぽっかりとスペースがあいています。

低人件費のクラブは、勝点と人件費の比が9pt/1億円近くに達する事もあります。6pt/1億円以上を叩きだしたチームは、2006年大分(6.2)、2006年甲府(7.6)、2009年山形(6.9)、2012年鳥栖(8.7)です。

ただ、これだけのコストパフォーマンスを毎年叩き出す事は難しく、大分、甲府、山形は降格を経験しています。2012年に昇格してきた鳥栖は、J1に定着していると言ってもいいのでしょうか?

次に補正値の<人>と<勝>をプロットします。(結局、大きな違いはなかったのですが)


やはり資金の豊富なクラブは勝点を増やせない傾向にあります。<人>が1.25以上(人件費が年平均値の1.25倍以上)のクラブは、<勝>が0.5以上1以下(勝点と人件費の比が年平均値の0.5倍以上1倍以下)です。特に1に近いあたりに密集してる訳でもありません。

資金豊富なクラブは、大企業の影響の色濃い、多くのサポーターを抱えるクラブなのですが、それらのクラブが機能していないとなると、Jリーグにとっても各クラブにとっても厳しい気がします。

ここ数年ですと、人件費が豊富なクラブは、名古屋、浦和、柏が20億円近くで、その次に横浜FM、G大阪、鹿島、大宮、FC東京が15億円以上でしょうか。やはり大都市圏が多いです。

資金の少ないクラブが多くの勝点をとれる(機能する)理由、資金豊富なクラブがその逆に機能しない理由(キーワード)、色々思いつきますが、説得力のある議論はちょっとできそうにありません。今後の課題です。

次回は、各クラブの、<人>(勝点と人件費の比をその年の平均値で割った値)の年変化を調べてみたいと思います。



今夜のJ1 1stステージの優勝、どうなるでしょうね?




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