この記事では、公開されたデータから、日本とコロンビアの特徴を調べます。
対象のデータは、「Players Heatmap」、「Tracking Statitcs」、「Passing Distribution」です。
ワールドカップの公開データについては、前々回の記事「【小ネタ】ワールドカップの公開データ紹介」を御覧下さい。
長いですが、大したことは言えていません。
コロンビア対日本(jleague.jp)
Columbia vs. Japan (fifa.com)
Players Heatmap
リンク順に従って、まずは「Players Heatmap」から見ます。
このリンク↑でPDFファイルが開きます。
一応画像も貼りますが、粗いのでPDFを見る事をお勧めします。
退場になったコロンビアの6番サンチェスの真っ白なヒートマップ、11番クアドラードも白いですね。
途中で4-4-1になったこの試合、トップ下の20番キンテロが自陣寄りになっている事が、象徴的です。
後ろの4人は変わらなかったのですが、クアドラードの代わりに入った5番のバリオスも結構真ん中に入っているので、右サイドは本職がいない感じでしょうか?
ただ、9番のファルカオには、たびたび怖い場面を作られました。
彼はだいたいセンターサークル付近に居ますが、日本のゴール前にも飛び地のような濃い領域があり、攻撃の時に日本のDF前で張っていた事が分かります。
一方、日本のヒートマップは結構癖が強いように思います。
日本は4-2-3-1、守る時は4-4-2でした。
対称なポジションにいた14番乾と8番原口ですが、ヒートマップはかなり非対称です。
日本の攻撃時間が長かったのもあるでしょうが、乾はかなり前で張っていました。
そして乾の後方の5番長友は、対称な位置にいる19番酒井に比べてずいぶん中央よりな事が分かります。
クアドラードがいなくなった影響が出ています。
そして、コロンビアの選手たちが中央から逆サイドに多くいた事で、8番原口が広範囲に走っていたのだろうと思われます。
3番昌子と22番吉田のヒートマップは対称的、7番柴崎と17番長谷部も対称的で、安定していた事が分かります。(一方のサイドから極端に攻められていないという意味で)
最後に15番大迫と10番香川ですが、濃い領域を見ると、前後に斜めの関係でポジション取りをしていた事が分かります。
試合を見ていた印象では、どうも乾が単発になりがちで、この大迫香川の斜めの位置関係が左右逆だともっと面白かったのかもしれません。(あるいは乾がもっと中央に寄る)
Tracking Statitcs
まずコロンビア側を見ます。
このPDFにはボールのヒートマップも載っているのですが、中盤では左サイドに行くほど数値が高い事が分かります。
選手たちのヒートマップでも書きましたが、日本の右サイドはこれによく対応していました。
日本の対応を証明するように、隣の Attack origin の矢印を見ると、コロンビアは左サイドと右サイドで同程度にボールを進めていた事が分かります。
コロンビアの左サイドはボールを進められませんでした。
その下のスプリントなどのデータからは、私はたいした事が言えませんが、16番のレルマ?が守備に走りまくっていた事は分かります。
走行距離は分かりやすいですが、右に表示されている Activity time spent(各速度範囲の時間割合)を見ても、フル出場していた選手の中で目立っています。
彼の数値は、zone3 で8%と最も高く、逆に、最も遅い zone1 では最も割合の少ない60%です。(退場した6番サンチェスの数値は無視です。)
一方、日本のボールのヒートマップは、中盤中央が最も高く、攻め込んだ領域も左右が均等な値です。
走行距離を見ると、原口、長谷部、長友が長い距離を走っており、特に原口は56回とダントツのスプリントを見せました。
ただ、「この表大丈夫かな?」と不安になるのは、time spent の P.A. で長谷部が大迫の12%を上回る27%になっている事です。
この意味する所は、「その選手が相手ペナルティエリア内にいた時間割合」なんですが、どう考えてもおかしな数値です。
もう一つおかしな点があり、それは、走行距離の合計がボールを保持している時と保持していない時の和にならない事です。
この原因としては、「コーナーキックなどでの移動距離が引かれてる」などと推測できますが、この長谷部の数値はどうにもおかしいです。
あと、人数の多かった日本が攻めきれなかった件ですが、コロンビアと日本の、Activity time spent の zone1 と zone2 の数値を見比べると、どうも日本はzone1の割合がちょっと高く、zone2の割合がちょっと少ないように見えます。
日本のほうが動きは良くなかった訳です。
別の記事で、これらの数値をコロンビアセネガルの値とも比べる予定です。
Passing Distribution
最後、日本のパス分布についてです。(コロンビアは時間切れです。すいません)
ちょっと数字が多いので、後ろの7人と、前の8人に分けて記述します。
重複しているのは長谷部と柴崎です。
この表は、PDFから画像を切り取って、libreofficeのimpress(あるいはパワーポイント)に貼り付けて作成しました。
一番多くパスを出しているのは22番吉田で、パスの試行数(PA)は93本です。
相方の3番昌子へのパスが最も多く、後は近くにいる柴崎長谷部酒井に多く出しています。
昌子も同じ傾向です。
17番酒井については、パスの成功率(PC)が悪いのが気がかりです。
特にミドルパスの成功率は2/3と良くなく、どんなプレーだったのか確認する必要があります。
攻撃にもいくつかの特徴があります。
柴崎と長谷部のパス本数(PA)が攻撃を支えています。
大迫はフィニッシャーなのでパス本数は少なくなります。
パスの長短の割合は、サイドバック、ボランチ、2列目で似たような感じでしょうか。
パスの受け手と出し手の関係(From-To)を見ると、前から言われていた事ですが、乾はもうちょっと長友を使うべきです。
長友から乾へは11本のパスがありましたが、乾から長友へは3本と、一方的なパス経路になっています。
この乾と長友の場合のように、対角な位置関係にあるマスを調べると、2人の選手のパス本数の関係が分かります。
(対角な位置関係とは、塗りつぶされた一連のマスから見て、対称な位置関係です。うまく言葉にできない。)
他の組み合わせでは、2倍から3倍程度の非対称な経路もありますが、乾と長友の場合は4倍近くと特にひどい値です。
長友を使う率が低いなら、守備は乾への対処をしやすくなります。
この2人の選手のパス本数の関係ですが、間に一人挟むような位置関係では当然少なくなります。
酒井と長谷部は、2本ずつパスを出し合いましたが、この両者の間には柴崎がいました。
少ないパス本数に着目して1本2本のパスを調べていくと、大迫と香川の間のパス数が少ない事が分かります。
また原口から大迫へのパスがなかった事も分かります。(本当にそうだったか覚えがありません)
1試合の結果だけなので、これで傾向が確定する訳ではありませんが、連携について気になる点ではあります。
数値以外でコロンビア戦の感想を書くなら、後半冒頭の縦パス攻勢がとても良かったと思います。
試合の前半は、コロンビアの守備に対して、ボールをその外で回すだけでした。
これまでの日本代表の試合でも、守備を固められてしまうと、似たような感じで守備の外を回してサイドで崩してボールを中央に入れるパターンが多かったと思います。(ザッケローニ監督時代は特に)
今回のような意図的で挑戦的な縦パス攻勢は、とても良い攻撃だったと思います。
次の試合ではどんな傾向が見られるか、楽しみです。
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