2018年6月29日金曜日

【日本代表】 グループステージのスペインのデータあれこれ

本記事では、グループステージでのスペイン代表のデータを、パスに関する数字を重点的に紹介します。




選手配置


ヒートマップとパス回しの数字を眺めた結果、グループステージにおけるスペインの選手配置は、基本的に3+3+3+1のユニットだと認識すると分かりやすいでしょう。(目新しい表現かどうかは知りません)


  • 後方の3は、ピケ・ラモス・ブスケッツ。
  • 左サイドの3は、イニエスタ・アルバ・イスコ。
  • 右サイドの3は、シウバ+α。
  • そして 1top のコスタ。


ポルトガル戦のスペインの Players Heatmap。

この図の左真ん中には、4-2-3-1という基本配置が表示されていますが、実際の平均的な配置はその下の図で示されています。

だいたいスペインの攻撃時間が長く、押し込む形になります。

パス回しでは、後方の3人のうち、ラモスとピケはそれぞれのサイドと主に絡み、ブスケッツは両サイドに絡みます。

もちろん左サイドと右サイドのパス交換も0という訳ではありません。



パス経路


パス経路を議論する前に、得点者の確認をしましょう。

グループステージ3試合の得点者は、コスタ3、ナチョ1、イスコ1、アスパス1、でした。

1topのコスタに、どうボールを供給するか、どう利用するかがスペインのパス回しの主な目的です。


ポルトガル戦、スペインのパス分布。


ます、各ユニットがコスタに供給したパス本数を調べました。

今回のスペインの攻撃を牽引しているのは間違いなく左サイドです。

コスタが各ユニットから受け取ったパス本数。

Passing distribution から数字をまとめると、3試合とも、コスタは半分以上のパスを左サイドから受け取っていました。

左サイドへのパスの供給源となっているのはCBのラモスです。

3試合共にラモスのパス本数はピケより多く、左サイドの3人に多くのパスを供給しています。

ポルトガル戦では、出したパス本数115本の内、半分以上の68本を3人に供給していました。

そしてパスを受けた3人のうち、イニエスタとアルバは同じ左サイド(自分以外の2人+ラモス)へのパス本数が目立ちます。

しかしイスコについては、左サイドにとどまらず、他の選手達とも多くのパスを交換しています。

イスコのヒートマップを見れば、どの試合でもその行動範囲は広く、パスをやり取りする選手達も多彩です。

ポルトガル戦、イスコは98本のパスを受け、その内、イニエスタ・アルバ・ラモスから57本のパスを受けとっています。

一方、イスコは89本のパスを出し、そのうち41本をこの3人に出しています。

大体50%前後、他の3人に依存しています。

一方、アルバやイニエスタはだいたい70%前後、他の3人とパスのやりとりをしています。

イスコは、シュートも毎試合2本ずつ撃っていますが、さらに前線の選手でありながら、出したパス本数と受けたパス本数が100本前後と尋常ではない数字です。

パスの数字を見ると「イスコスゲー」となりますが、イスコが大きく動き回る分、イニエスタとアルバは守備で重要な役割を果たす事になります。



話を変えて、コスタが出したパスは、次のとおりです。

コスタが各ユニットへ出したパス本数。

ポルトガル戦は、各ユニットへ出したパス本数は、それぞれから受けたパス本数と同程度でした。

しかし、イラン戦、モロッコ戦と、左サイドから受けたパス本数に対して出したパス本数は相対的に減っています。

右サイドや後方とのパスのやり取りはそれほど大きく変わっていませんし、コスタのシュート本数も3本、3本、2本と大きく変わっていません。

これらの理由から考えて、左サイドからボールを受けたコスタが特に潰されているか、コスタと左サイドのボールのやり取りが重点的に妨害されているのでしょう。

(モロッコもイランもよく守っていたので)

R16では、コスタから左サイドへのパスは機能するでしょうか?



右サイド


スペインは、右サイドのスタメンが固まりません。

右サイドのシウバの他のメンバーは、初戦のポルトガル戦がナチョとコケ、2戦目のイラン戦がカルバハルとバスケツ、3戦目のモロッコ戦がカルバハルとアルカンタラでした。

カルバハルはR16でも右サイドで出場するでしょうか?

イラン戦でのカルバハルのパス成功率は95%と、好調でした。(バスケツはなんとパス本数36本で61%)

しかしモロッコ戦では、シウバと共にパス成功率が80%近くでした。

攻撃の際にシウバやカルバハルの一列後ろとなるチアゴは、パス成功率が97%と非常に良かったのですが…。

またパス成功率だけで言えば、ポルトガル戦のナチョとコケは92%と悪い値ではありませんでした。

ただナチョのヒートマップはそれほど相手陣内に入り込むものではなく、必然的にパスを出す相手もピケやコケが多く、攻撃的では無かった事が、スタメンの出場機会を得られなかった原因のように思われます。(3点目のゴールは凄かったのに)

R16のロシア戦は、右サイドのスタメンはどうなるのでしょうか?


次に右サイドの核となっているシウバについてです。

シウバの出したパス本数と受けたパス本数は、ポルトガル戦とモロッコ戦が40本台、そして2戦目のイラン戦が70本台でした。

シウバの撃ったシュートは、ポルトガル戦で3本、イラン戦で5本、モロッコ戦は0本でした。

数字上はシウバが躍動したイラン戦、この試合でシウバが受け取ったパスは、ブスケッツからの23本、カルバハルからの17本、イスコからの14本でした。

外部からパスを入れてもらわないと、活性化しないのが右サイドの現状です。

3試合の数字を眺めていると、ピケからシウバへのパス本数も気になります。

ピケからシウバへのパス本数は、ラモスから左サイドの3人へのパスの割合を参考にすると、どうも少ない気がします。


これからスペインが勝ち抜く上で、右サイドの活躍はどうしても必要になるはずですが、う~んどうなんでしょう?

もう選手選考の段階ではないので、選手同士で変わる(変える)べきだと思うのですが。

とりあえずロシア対スペインを楽しみにします。



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