サッカーの試合中、選手達はほぼ常に動いています。「 Activity Time Spent 」とは、選手達が動いている速度の時間割合を示す指標です。
公開されているデータ
各試合のページの「 Match Facts 」からPDFファイルをダウンロードできます。
「 Activity Time Spent 」は、その中の「 Tracking Statistics 」に記されています。
開幕戦のロシアの、Tracking Statisticsの表。Activity time spentは赤枠内。 |
この画像を拡大するかPDFファイルを御覧下さい。(参考記事、【小ネタ】ワールドカップの公開データ紹介)
この表からわかるように、いくつかの速度範囲 (zone 1 ~ 5) の区分があり、選手がどの速度範囲にどの程度の時間いたのか、その選手の出場時間に対する割合(%表示)で示されています。
私の印象では、zone 1 は歩く速度を代表し、zone 2 はランニング程度の速度を代表しています。(参考記事、【小ネタ】 走行距離とスプリント回数って、どんな感じ?)
zone 3 と 4 は機械的な 5km/h 刻みで、zone 5 はめったに出ないそれ以上の速度、となっています。
計算方法
計算方法の原理を簡単に説明します。
以前、トラッキングデータと呼ばれるものが、ボールと選手たちの位置情報を集めたものだと説明しました。(【小ネタ】 トラッキングデータの計測方法)
その位置情報の時間差分をとると、速度ベクトル(方向を含む速度の大きさ)が出てきます。
下の図は、その速度の大きさの時間変化の、シンプルな例です。
選手の速度変化の例。Vmax は最高速度。開始時間は t1、停止時間は t6。 |
想定している状況は、選手が止まった状態からある方向にまっすぐ走り出し、速度を落としてやがて止まる、という状況です。
この図にあるように、最初は停止(速度0)しており、走り出した後どこかで最高速度に達して、やがて止まります(速度0になります)。
このような速度変化に対し、こちらで勝手に速度 v1, v2, v3 を決めて、速度範囲 (zone 1 ~ 3) を設定します。
- 速度0から v1 までを zone 1。
- 速度 v1 から v2 までを zone 2。
- 速度 v2 から v3 までを zone 3。
選手の最高速度が v2 以上 v3 以下だと、以下の図になります。
色別に示された各 zone と、zone に出たり入ったりした時間、t2 から t5 まで。 |
このようにして、それぞれの速度帯にいた時間が分かります。
後は単純な計算で、次のようになります。
- zone 1 にいた時間割合は、([t2 - t1] + [t6 - t5]) / (t6 - t1) 。
- zone 2 にいた時間割合は、([t3 - t2] + [t5 - t4]) / (t6 - t1) 。
- zone 3 にいた時間割合は、(t4 - t3) / (t6 - t1) 。
現実の選手たちの速度変化はもっと複雑ですが、「 Activity Time Spent 」はこのようにして求められます。
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