2018年7月2日月曜日

【小ネタ】パスマップとは

本記事では、サッカーのデータ分析に必須の「パスマップ」について記します。

パスマップとは、パスを出した選手と受けた選手の位置関係や、選手間のパス本数などの情報を図示したものです。

本記事では、既存の3種類のパスマップを紹介します。




「パス」の認識


パスマップについて説明する前に、「パス」がどう認識されるか、紹介します。

サッカーにおける「パス」という行為を認識するためには、パスを出した選手(ボール保持者)、受けた選手(次のボール保持者)、ボールの3つの対象を認識する必要があります。

まず最初に、選手達とボールの移動を認識して、位置をデータ化する方法については、簡易な説明ですが、「【小ネタ】 トラッキングデータの計測方法」を御覧下さい。

次に、ある選手がボール保持者かどうかを認識する方法ですが、Jリーグは最終的には人が判断していたはずです。(なんの記事で読んだのか記憶がぼんやり)

ただずーっと人が見続けるのは大変なので、また大部分の時間はボール保持者が明確なので、機械的にボール保持者を判断する事が必要になります。

このボール保持者の機械的な判断ための条件は、例えば、「他の選手たちとの距離が遠く、かつ何秒間以上ボールと選手がごく近い位置にあった」などとすれば、ある程度は判断できるでしょう。

しかし、セットプレー時の混戦や、1対1のボールの奪い合いの際のボールタッチは人間の確認が必要そうです。

この辺の確認は学術論文というよりも、データサプライヤー(日本ならデータスタジアム)のノウハウの範疇なのでしょう。



3種類のパスマップ


本題ですが、現在、アプリやツイッターで公開されているパスマップはざっと3種類あります。

どれもその名の通りパスマップですが、それぞれに長所短所があります。

大きく分けると2種類、その一つがまた2種類に分かれています。

  • A、パスの一つずつを矢印で表したマップ。
  • B、選手の平均的な位置を表示し、選手間のパス本数を線(矢印)の太さで表したマップ。

後者のマップは、次のように分かれます。

  • B1、2人の選手間のパスの向きを考慮せず、合計パス本数を線の太さで表示。
  • B2、2人の選手間のパスの向きを考慮。必ず2本の矢印を表示。

「サッカー パスマップ」で画像検索すれば、これらの画像はたくさん出てきますし、ツイッターなら「#パスマップ」、「#passmap」で出てきます。

以下、参考画像です。

A、パスの一つずつを矢印で表したマップ。

B1、パスの向きを考慮せず、合計パス本数を線の太さで表示。

B2、パスの向きを考慮。必ず2本の矢印を表示。

それぞれの画像の出典は次の通り。

A、2013年11月23日の NBC Sports Soccer のツイート

B1、シティ対ナポリのスペクタクル。パスサッカー頂上決戦【UU分析】(Footballista)

B2、2018年7月1日の 11tegen11 のツイート



マップの短所長所


違う情報を見せてくれるこれらのマップですが、どれか一つで十分、という訳ではありません。

例えば、マップAでは、パスを出した選手別や、領域別のマップ(矢印の分布図)を見る事ができます。

しかし例えば、ある選手がパスを出したマップを見ても、当然他の選手達のパスは分かりません。

一方で、11人全員のこのパスマップを見ての比較、なんらかの強い傾向を見出す事は、人間にはなかなか困難でしょう。

(「パスを受けた選手」でもマップをまとめられるんだっけ?「パスの出し手はその選手へのパスを意図していたけど失敗してしまったパス」が認識しにくそう)


マップB1とB2では、全選手のパス本数の関係がひと目で分かります。

ただこれらは、主にパス本数の多い経路を見るためのマップです。

B1の参考画像にあるように、パス本数の少ない経路は多すぎて何がなんだか。

(まぁ、表示の制限によって得られる情報は変わりますが)


B1とB2の違いですが、B1はパスの向きを考慮しておらず、B2の方が情報量が多い事は間違いありません。

ただB2では、選手間の距離が短いと矢印が潰れてしまい、よく分からない事もあります。

そしてB2は矢印の本数が多い分、矢印が重なると見にくくなる傾向があります。

B2で表示する経路については、B1よりも少なくするべきでしょう。


B1は、2人の選手達のパス交換が同程度である時は、非常に見やすい図と言えます。

ただ選手間のパス本数に大きな不均一があると、間違った印象を与えてしまいます。

例えば、私の印象では現日本代表(2018年ロシアワールドカップ)の左サイドの乾長友の縦の関係は、パス交換に大きな偏りがあります。

長友は乾に出しますが、乾は自分で仕掛けるのもあって、なかなか長友にパスを返しません。

こうなると、この両者を結ぶ経路の線が太いといっても、「緊密なパス交換」とは言えません。


B1とB2で示されている選手の「平均的な位置」についても議論の余地はあります。

B1の画像には、単に「Average positons」と書いてありますが、「パスマップ」ということで自分たちのボール保持時(つまり攻撃時)の位置の平均なのか、それとも非ボール保持時を含めた全時間の位置の平均なのかは、明確に表示されるべきです。

私の意見としては、全時間の平均的な位置が好みです。

攻撃時の平均的な位置にしてしまうと、相手陣内でのポジションが密になり(選手間距離が短くなり)、経路が見にくくなる事もあるからです。

それなら、フィールドに広く散らばった配置がいいだろうと思います。

もちろん、時間や選手を制限して細かく見る事も重要です。



以上、パスマップをまとめました。

パスマップは選手たちの行動と関係を非常に便利に表してくれますが、表示されているデータ内容には情報の十分不十分があるので、注意が必要です。



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