Research Gateからも取得できるようです。Validation of Prozone (R): A new ...
この論文では、トラッキングシステムで計測された動き(走り)の速度を、独立して計測された速度と比較しています。
ちょっと古いですが、前回紹介した論文で参照されていました。
この論文には、トラッキングシステムを開発?したProzone社が協力しています。
独立した計測方法とは、一定距離に設置された光センサー(タイミングゲート)による時間計測(速度計測)です。
本文では、「良好な結果(最も良い結果は相関係数0.999)が得られた」とされていますが、一部疑問が残ります。
計測方法をまとめると、
- トラッキングについては固定した8台のカメラによってフィールド全面をカバーする。加えて確認用の全体撮影カメラ。(Fig. 2)
- 計測は0.1秒間隔。
- 2つのフィールドで計測した。(Old TraffordとReebook Stadium)
- 計測に参加したのは6人の成人男性(ボランティア)。
- タイミングゲートは、Newtest 300 Series Power Timer を採用。
- 走っている間にトラッキングデータから得られた平均速度を、タイミングゲートの時間計測から得られた速度を比較。
計測する運動(走り)をまとめると。
- 走るコースは4種類。直線60m、途中で斜め前方に方向転換する50m、直線15m、途中で左右に直角に方向転換する20m。
- 60mと50mでは、7, 11, 14, 19, 23 km/hのペース走。
- 音によるペース設定は Ergo Tester, by Globus を使用。(そういう装置があるらしい)
- 15mと20mでは全力疾走。
- 複数カメラによるトラッキングの有効性を示すために、走るコースはフィールドのあちこちに設定。(Fig. 1)
比較結果を解析する際には、単純な相関係数だけでなく、高等?な統計解析もしているようです。(詳しくないのでさっぱりです)。
比較の結果は以下のようになりました。
- 60m、50m、15mで比較した場合相関係数は0.99以上。20mでは0.95以上。他の統計解析の数値も良い。
- 60mと50mの比較結果は、ほぼ直線状。フィッティングの結果の傾きは1近い。(理想的な結果)
- 15mと20mの比較結果は、バラツキがある。フィッティングの傾きは0.77と1.10。(バラツキは何故?)
↓60mの比較結果の図です。
↓15mの比較結果の図です。
赤線は、原点を通る傾き1の直線です。トラッキングの速度に比べて、タイミングゲートの速度の方が全体的に速い事が分かります。
以下は、個人的感想です。
- 本文では、15mと20mの比較結果のバラツキに触れられていない。バラツキの理由が良く分からない。
- 加えて15mの比較結果では、原点を通る傾き1の直線から全体的にずれている。
- ただ、0.5m/s 以下の差なので、「改善を要する」程度の成績に思える。
- 今回の結果からは、スプリント(全力疾走)での速度測定は若干不安定。
- 注意しておきたいのは、この論文は10年前の簡易的な観測結果である。
- この論文は0.1秒の時間間隔でトラッキングデータをとっているが、Jリーグでは0.04秒の時間間隔である。
- この論文では簡易的に8台のカメラを使っているが、(当時でさえ)本来は50台との事。
スプリントの際の速度計測にバラツキがあって、それを議論していないのは不満です。ペース走はあんなに綺麗に一致しているのに…。
位置測定のプログラム関係でしょうから、企業秘密も絡んでいるのでしょうか?
あと、この論文では基本的にフィールド上の走り、つまり2次元的な動きだけを調べていますが、ジャンプで空中にいる際の位置測定の精度も知りたいところです。
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