2018年6月5日火曜日

サッカーW杯における情報戦とは?

W杯(ワールドカップ)における情報戦とは何か?何ができるのか?どんな効果があるのか?、について考えてみました。


ワールドカップ前になると、しばしば「ワールドカップは情報戦」というフレーズを見かけます。

ここでの情報戦は、「相手チームを知る」事と同時に「相手チームにこちらの手の内を知られない」事を意味します。

結論は、「確かに重要だが、隠せる情報は多くない。むしろ分析。」

内容

  • 前提1、代表選手は実績豊富
  • 前提2、激闘確定の地域予選
  • 何のための情報戦か?
  • 情報戦で隠せるものは?
  • 情報戦を実施できる期間は?
  • 情報戦が有効な期間は?
  • 情報戦を軽視できるか?
  • 結論







前提1、代表選手は実績豊富


話の対象となるのは、年齢制限の無いA代表です。

A代表に選ばれるからには、相応の実績が必要です。

W杯に出場するような国の選手達は、各国のリーグ戦で活躍しています。

選手達は、クラブチーム内の競争と出場した試合に全力で取り組んでいるはずです。

クラブチーム内で手を抜きながら活躍し、代表チームにも選ばれる選手はいないでしょう。

情報流通が容易になった現代では、個人的な能力や過去のプレーは把握されやすい情報です。


前提2、激闘確定の地域予選


どこの地域予選であれ、地域内の強豪国であれ、少なくとも数回はどのチームもその時の全戦力を投じて戦う必要があります。

相手のスタイルによっては使わない選手やフォーメーションがあるかもしれません。

使いたい選手が負傷していれば、出場させる事はできません。

しかし、これは決して「手を抜く」という意味ではありません。

手を抜いて敗退しては、そもそもW杯出場という目標が達成できないからです。

監督は、「1%でも2%でも」勝率を上げようと、選手と戦術(フォーメーション)の選択に苦心惨憺するでしょう。

さらに、地域内の格下の国との対戦では新人選手を試す事もできますが、その試合に負けても良いわけではありません。

常に一定の手札を切って、戦力を維持する必要があります。


例えば、オセアニア地域におけるニュージーランドは、オセアニア内では手の内を隠せるでしょう。

しかし今回のロシアW杯の予選では、南米5位のペルーとのプレーオフで敗退しました。

ヨーロッパ予選でも、強豪国同士の対戦があれば、まず全力で勝利を目指します。

今回のヨーロッパ予選では、W杯常連国のオランダがグループ3位で敗退、イタリアはグループ2位となりプレーオフで敗退しました。


地域内予選では、情報を隠す事よりも、勝利が優先されます。

(以下、である調になります。)


何のための情報戦か?


W杯のグループステージ(とトーナメント)で勝利するため。


情報戦で隠せるものは?


未出場(出場経験の多くない)の選手と他の選手達との連携、実践していない戦術とフォーメーション。


情報戦を実施できる期間は?


W杯出場決定後から考えるべきだが、特にW杯グループステージの組み合わせ決定後の半年程度の期間。

この期間のテストマッチの目的は、新戦力の導入、(必要なら)既存選手の新たなポジションでの試用、相手チームによる自分たちの弱点の確認と試合中の修正、など実験的色合いが強い。

特にW杯直前のテストマッチではタイプの似た仮想相手国と対戦し、基本的な戦い方を実践し、「この程度はできそうorやられる」という感覚を掴む。

この仮想相手国との試合は、対戦国にとって重要な情報源になってしまうが、やらない訳にはいかない。

特に格下の国は、最高のパフォーマンスと手の内を見せてはいけないが、自分たちの自信を無くすくらい酷いパフォーマンスでもいけない。(隠した手札がどれくらい有効かは別にして)



情報戦が有効な期間は?


一度試合でプレーしてしまうと、大半の情報はバレる。警戒される。


情報戦を軽視できるか?


自分達や他の代表チームが、W杯前までにさらけ出している情報量と隠している情報量を考えれば、既存の情報の分析は当然となる。

問題は、半年に満たない期間での分析になる事か。

(3カ国、各30名程度の個人プレーからチームプレーまでの詳細な解析を、半年✕2人でできるのか?途中のテストマッチの対戦国のチェックと試合後の分析もあるだろうに。)


一方、選手と戦術を隠す事にどれだけ効果があるのかは、明確に答える事が難しい。

極端な話、非常に人材豊富な国があったとして、地域予選で全く使った事の無い23人でグループステージに挑む時、何が起きるだろうか?

相手チームは自分たちの事をほとんど知らず、自分たちは相手チームの情報がある。これは利点である。

しかし、全員が新規の選出なので、実戦経験のほとんどない未熟なチームになる事が短所である。

仮に今回のロシアW杯のタイムスケジュールで考えれば、チーム結成一ヶ月で、テストマッチを含めた4戦目がグループステージ初戦となる。

これは五分五分のギャンブルというよりも、連携や位置取りのミスで自滅の可能性が高いだろう。

一方の極端な話は、戦力を隠さず、戦術も変えず、地域予選を突破したチームの成熟度を高めるだけの場合である。

この場合の長所は、相手チームの対策に専念できる事だろうか。

短所は、相手チームには、位置取りや連携のスキ、そしてその後の展開を一方的に考えられてしまう事である。

相手チームの隠された選手と戦術にどこまで現場で対応できるかが肝になる。(試合中の対応は簡単では無いだろう)


では数人の新戦力ならば大丈夫だろうか?ちょっとフォーメーションと選手を入れ替えるくらいなら機能するだろうか?

選手については、屋台骨はそのままにちょっとアクセントを加える、という程度が現実的だろう。

戦術についても多くの監督は極端には変えないだろう。(例外あり)



結論


結論を言いますと、相手チームの分析については、対戦のスタート地点になります。

監督にはそれを活かす能力が必要になります。

この点では正しく「ワールドカップは情報戦」です。

情報戦で隠せる選手と戦術は、多くはありません。

その多くない手札がW杯での勝利に寄与する可能性は大いにありますが、それは現有戦力あっての事です。

「情報を隠していたから勝利した」というのは、誇張のし過ぎです。


2010年南アフリカW杯における成功体験が、「ワールドカップは情報戦」というフレーズにつながっているのかもしれません。

ただあのような戦術の大きな変更は、全くのギャンブルです。

土壇場からの逆転劇は美談ではありますが、日本サッカーの成長を考えたら今後禁じ手にするくらいであって、参考にすべきでは無いと思います。(守株)

奇策で勝利したのなら、次は奇策を用いずに勝利を目指すべきではないでしょうか?


前日本代表監督のハリルホジッチ監督は、ご存知のように、ブラジルW杯でアルジェリアを率いて、優勝国のドイツをR16で苦しめながら敗退しました。

ドイツ戦を含めた4試合で、ハリルホジッチ監督は試合ごとにフォーメーションを大きく変え、相手チームの弱点を突こうとしました。

ハリルホジッチ監督のこのやり方は、奇策とまではいかず、相手チームを分析し、対応するためのものであり、情報戦の一つの真骨頂と言えるものでした。

極端に戦術を変えようとはしない相手チームに、積極的な対応が実を結んだ形でした。(同種の監督同士だと伸るか反るかのギャンブルになりかねませんが)

ハリルホジッチ監督が日本代表を率いてどんな試合をしたのか、見たかったと思います。


今回の記事を書きながら改めて思いましたが、情報戦の観点からは、W杯前のテストマッチで勝利を求める一部の方々やマスメディアの存在は、百害あって一利無し、です。

W杯出場が決定したら、W杯で上位進出する事が、代表チームの次の目標です。

W杯の準備よりも、たかがテストマッチの勝利に拘泥するのはなぜでしょうか?

テストマッチで仮想相手国に勝利を強要して、手の内を晒した事でグループステージから敗退するとしたら、日本代表の足を引っ張ったのは誰でしょうか?

マスメディアの皆さんは、常に阪神タイガースに前向きなデイリースポーツを見習うべきだと思います。

もっと面白い画像があるはず。



ロシアW杯大陸予選一覧(ゲキサカ)

ブラジルW杯時のハリルホジッチ監督については、「ハリルホジッチ アルジェリア代表 フォーメーション」などで検索すると出てきます。


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